第3回口頭弁論期日報告
弁護団長 井 戸 謙 一
原告側は、事前に、①訴えの追加的変更申立書【子ども人権裁判について、従前の確認請求(危険とはいえない地域で教育を受ける権利があることの確認を求める請求)に給付請求(危険とはいえない地域で教育を実施することを求める請求)を付け加えるとともに、「危険とはいえない地域」を福島第一原発事故直後の土壌汚染濃度から特定したもの】、②準備書面(6)(低線量被ばくの危険を述べたもの)、③準備書面(7)(小児甲状腺ガンの増加問題を述べたもの)を提出しました。また、子どもには安全な環境で教育を受ける権利があることについて、同志社大学の横田光平教授の意見書を提出しました。
他方、被告国、被告県は、親子裁判について準備書面を提出しました。被告国は、原告側の主張に難癖をつけて、国の積極的主張をするのをまた回避しました。被告県は、基本的な主張をしました。それは、「県には、放射線量の情報を県民に提供する義務はない」、「国が安定ヨウ素剤を服用させる必要はないと判断している中で、県が県民に独自に服用を指示する理由はなかった」、「学校を再開したのは市町村教育委員会が決めたことで、県は関知しない」「山下俊一アドバイザーは放射能の危険性を科学的に説明したのであって、言葉尻をとらえて非難するのは相当でない」等と開き直るものでした。
裁判所は、子ども人権裁判について、審理を終えて終結しようとしました。裁判所が子ども人権裁判を門前払いしようとしていることがはっきりしましたので、原告弁護団は、裁判所に対し、追加した給付請求について被告の意見を文書で求め、原告側に反論の機会を与えるべきこと、裁判所が、子ども人権裁判が訴訟要件を欠いていると考えているのであれば、それを指摘して、原告側に反論の機会を与えるべきこと等を強く迫りました。その結果、裁判所は、終結を断念し、原告側に次回までに反論の機会を与えることになりました。
確かにこの裁判は前例がありません。前例のない裁判が起こったのは、前例のない人権侵害が起こったからです。それを裁く司法には、前例のない判断が求められます。弁護団は、そのことを次回期日までに強く主張して、裁判所の翻意を求めます。市民の皆さまも、葉書や署名の形で、裁判所に対し、是非意見をお寄せいただきたいと思います。
以上
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