2018年12月13日木曜日

子ども脱被ばく裁判の予定(平成31年前半)

子ども脱被ばく裁判の予定(口頭弁論期日)は以下のとおりです。


第18回 平成31年2月20日(水) 午後2時30分から口頭弁論

第19回 平成31年5月15日(水) 午後2時30分から口頭弁論



福島地方裁判所:福島市花園町5-38

2018.12.11 第17回口頭弁論期日報告


17回口頭弁論期日報告 (2018/12/11

1 201812111430分から、子ども脱被ばく裁判第17回口頭弁論が開かれました。原告側から準備書面(62)、(63)、(64)が提出されました。原告準備書面(62)は、既に提出されている国の第10準備書面に対する反論です。国は同準備書面において、「原告らの主張する『年1mSvの被ばくであっても、無用な被ばくによる健康被害を心配しないで生活する権利』なるものは、国賠法の救済が得られる具体的な権利ないし法的利益とはいえない」、「一般的、抽象的な健康リスクに対する不安感のみをもって国賠法の救済が得られる権利ないし法的利益があると認めることができない」、損害と請求原因との因果関係が明らかでない、そして「消滅時効の援用」についていろいろと述べています。これに対して、原告準備書面(62)では、抽象的な危惧感や不安感を権利ないし法的利益として主張しているのではなく、被ばくを避けて、健康に生存・生活するという個人の基本的な権利(健康13条、25条)が住民の健康と福祉を守る責務を有している被告らの行為によって意図的に侵害されたことで現実的に発生している将来への健康不安という精神的侵害の賠償を求めているものであること、消滅時効については時効の起算点が,「被害者において,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に,その可能な程度にこれらを知った時」であり最判も「被害者が損害を知った時とは,被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう」としていることを明確に説明しています。
また、原告準備書面(63)では、河野益近氏による調査を紹介し、福島県内の土壌中の放射性セシウムが不溶性微粒子の形態で存在し、県内子ども原告らが今後も福島県内に住み続けた場合に、同微粒子の摂取による健康被害を受けるリスクがあることを立証しています。
そして、原告準備書面(64)では、SPEEDIシステムの運用について、関係道府県と文科省、システム運営を受託する(財)原子力安全技術センター関係者らが定期的に連絡会議を持っていたこと及びそこで議論されていた内容を説明し、あわせてSPEEDIシステムは、原子力災害応急対策の基幹システムとして法令上も位置付けられていたこと、また、端末を設置していた被告福島県は災対法によってその情報を住民の防護対策のために利用しなければならず、被告福島県のSPEEDI情報の取り扱い(メール廃棄を含む)は、法令上の義務違反にあたることを説明しています。
2 基礎自治体(福島市、会津若松市、田村市、郡山市、伊達市)から準備書面が提出されました。原告準備書面(61)で「各市町村内の総合病院の患者数の推移を調査し」その結果を明らかにすることを要望していますが、いずれも、その要望に応じる必要はないという内容です。
3 今回、国から第11準備書面が提出されました。原告準備書面(55)において、「放射線管理区域規制の趣旨について」「20mSv通知の趣旨について」「低線量被ばく、内部被ばくの危険性について」の3項目ついて、国に対して求釈明をしていますが、これに対し国が第11準備書面において回答して来ました。
4 また、今回の期日において山下俊一氏の講演内容がおさめられているDVDが、裁判官、原告の皆さん、原告代理人、支援者、被告代理人の前で再生されました。1時間を超える内容でしたが、後半の福島の住民の皆さんからの質問に対して「全く影響はありません。」という断言を連発していました。
5 山下俊一氏のDVDの再生、原告代理人の提出書面の要旨の説明に引き続き、原告であるお母さんからの意見陳述がありました。裁判官の皆さんにこのお母さんの気持ちが伝わっていると確信しました。
以上です。


2018.10.16 第16回口頭弁論期日報告


子ども脱被ばく裁判20181016日第16回口頭弁論期日報告

弁護団長 井 戸 謙 一

1 原告側は、準備書面5861の4通の準備書面を陳述し、調査嘱託の申立てをしました。
(1) 準備書面58 
内部被ばくの健康リスクを実効線量で評価してはいけないこと、特にセシウムの不溶性微粒子による内部被ばくは、危険性が大きいことを主張したもの
(2) 準備書面59
 被告福島県に対し、福島県県民健康調査甲状腺検査における「経過観察問題」、すなわち、経過観察となった後に甲状腺がんを発症した子どもの数を調査の上、明らかにすることを求めたもの
(3) 準備書面60
 山下俊一氏が福島原発事故直後に福島県内各所でした講演の内容が、科学的に荒唐無稽であることを主張したもの
(4) 準備書面61
 南相馬市立総合病院の「患者数の推移」として南相馬市が公表したデータによって、福島原発事故後、同病院の患者数が増加していることを指摘し、被告基礎自治体に対し、各区域内の総合病院の患者数の推移を証拠提出することを求めたもの(なお、南相馬市立総合病院の上記データについては、ネット等で、「患者数ではない」との意見が公表されていますので、今後、その数字の持つ正確な意味を明らかにしていく必要があります。)
(5) 調査嘱託申立て
  福島県立医大及び同大学鈴木眞一教授をリーダーとする研究チームに対し、経過観察とされた子どもの中から甲状腺がんを発症した子どもの数の報告を求めたものです。

2 被告国は、第10準備書面を提出しました。その内容は、①子どもが無用な被ばくをしたことによる精神的苦痛は、法的保護に値しない、②原告らの権利は、既に時効消滅している、というものです。

3 被告福島県は、第16準備書面、第17準備書面を提出しました。第16準備書面は、日本の法律による年1ミリシーベルト規制や放射線管理区域規制の趣旨等を述べたもの、第17準備書面は、被告福島県は、県民健康調査甲状腺検査の経過観察中の甲状腺がん発症数を把握しておらず、調査する義務もないと主張するものです。

4 裁判所は、上記1(5)の調査嘱託については、被告国の意見を聞いて採否を決定することになりました。また、原告側は、上記1(3)の準備書面60に関連して、山下氏の講演映像のDVDを証拠として提出しており、これを法廷で再生することを希望していましたが、これは、次回に行うこととなりました。
5 今回は、新たに3043筆の署名を裁判所に提出することができました。署名活動へのご協力、ありがとうございました。
6 次回口頭弁論期日は、12月11日午後2時30分、その次の期日は、来年2月20日午後2時30分です。引き続きのご支援と多数の傍聴をお願いいたします。
以上


2018年12月12日水曜日

準備書面(58)~(64)、甲C88-山下俊一H23.3.21福島市講演動画反訳書、記者レク資料、被告国準備書面(10)(11)、被告福島県準備書面(16)(17)

平成30年12月11日の第17回口頭弁論に先立ち提出した書面です。

原告準備書面(62)

原告準備書面(63)

原告準備書面(64)


甲C88-山下俊一H23.3.21福島市講演動画反訳書-



平成30年12月10日に行われた記者プレゼンの資料です。

2018年12月10日 子供脱被ばく裁判記者プレゼン資料

河野先生検査結果報告書(配布用)



平成30年10月16日の第16回口頭弁論に先立ち提出した書面です。

原告準備書面(58)

原告準備書面(59)

原告準備書面(60)

原告準備書面(61)

なお、原告準備書面(57)は欠番です。


平成30年10月11日の第16回口頭弁論、平成30年12月11日の第17回の口頭弁論に先立ち、被告国が提出した書面です。

被告国:第10準備書面

被告国:第11準備書面



平成30年10月11日の第16回口頭弁論、平成30年12月11日の第17回の口頭弁論に先立ち、被告福島県が提出した書面です。

被告福島県:準備書面(16)

被告福島県:準備書面(17)



裁判記録には,これまでの記録を載せています。

証拠説明書や証拠についてはこちらから⇒裁判資料(証拠)

2018年7月11日水曜日

2018.7.9第15回口頭弁論期日報告


15回口頭弁論 期日報告(2018/7/9)

1.   201879日、14:30から、子ども脱被ばく裁判第15回口頭弁論が開かれました。原告側からは準備書面(54)、(55)及び(56)を提出し、陳述しました。準備書面(54)は、被告国が連名意見書等を証拠として提出してLNTモデルは科学的に実証されていないなどと主張していることに対し、崎山意見書等を踏まえて詳細に反論するものです。準備書面(55)は、前回期日に被告国が行った口頭陳述を踏まえて被告国の主張に対しコメントし、低線量被ばくによる健康被害についての補充主張をするとともに、低線量被ばくの健康リスクについて議論を嚙みあわせるために、被告国と被告県に対し、詳細な釈明を求めています。準備書面(56)は、被告国と被告県の情報隠ぺい問題に関する反論に対する再反論をするとともに、被告国と被告県に対し資料の提出を求めるものです(各書面の詳細については弁護団ホームページにアップする書面をご参照ください)。
2.   被告側の学校を設置している基礎自治体(いわき市、伊達市、田村市、郡山市、福島市、会津若松市)から、原告が主張立証した不溶性放射性微粒子による内部被ばくの危険性の問題についての準備書面が提出されました。しかし、いずれも単に「不知」などとするものでした。井戸弁護団長は、学校を設置する基礎自治体としてそのような不誠実な態度で良いのかと問題提起し、より詳細な認否反論を求めました。
3.   被告福島県は、経過観察問題について、原告の釈明に答える予定はない、認否反論も不要であるとする書面を提出しました。柳原弁護士から、あらためて被告福島県に対して、小児甲状腺がんの症例数を把握し公表する義務があると考えているのかどうか問いただしましたが、明確な回答は得られませんでした。
4.   被告国は、求釈明申立書を提出し、原告の国家賠償請求は、「福島第一原子力発電所事故による、原子力損害の賠償に関する法律」に定める「特定損害」なのか否か、という釈明を行いました。この法律は、福島第一原発事故により東京電力に賠償を求める場合の時効期間を延長した法律です。本件で原告らが主張している、情報の隠蔽、子どもたちにヨウ素剤を服用させなかったこと、集団避難をさせなかったこと等は、いずれも国と県の不作為を問題にするもので、「特定損害」とはいえませんので、弁護団はそのように回答しました。国はこれを踏まえて次回以降、消滅時効の主張を行うものと予想されます。自ら責任を放棄して不作為をはたらいておきながらそのような主張が許されるものでしょうか。
5.   原告代理人の準備書面の説明に続いて、若い母親の原告が、意見陳述を行いました。「井戸弁護士の『怖がっていい、泣いていい、怒っていい』ということばを目にすると涙が出てくる、7年経った今もそうできる状況ではないから」「経済よりも何よりも、一人一人の命、健康を大事にしてほしい」涙ながらの訴えが裁判官の心に響いていることを願ってやみません。
6.   次回期日は1016日、次々回は、1211日、その次の期日は2019220日(いずれも口頭弁論14:30開始)となります。今後の国側の反論とこれに対する原告の再反論で、原告被告間の主張のやりとりが一通り済んだかたちとなり、訴訟もいよいよ山場を迎えることとなると思われます。今後も多くの皆様のご支援をお願いいたします。
(文責 古川)

子ども脱被ばく裁判の予定(平成30年後半~平成31年前半)

子ども脱被ばく裁判の予定(口頭弁論期日)は以下のとおりです。


第16回 10月16日(火) 午後2時30分から口頭弁論

第17回 12月11日(火) 午後2時30分から口頭弁論

第18回 平成31年2月20日(水) 午後2時30分から口頭弁論



福島地方裁判所:福島市花園町5-38

被告福島県準備書面(15)

平成30年7月9日の第15回口頭弁論に先立ち被告国が提出した書面です。

被告福島県:準備書面(15)



裁判記録には,これまでの記録を載せています。

準備書面(54)~(56)

平成30年7月9日の第15回口頭弁論に先立ち提出した書面です。

原告準備書面(54)

原告準備書面(55)-被告国に対する反論・年1ミリシーベルトを基準に放射線防護対策をとることは国際公約であること、被告国及び福島県に対する求釈明等-

原告準備書面(56)-被告国第8準備書面、被告福島県準備書面(14)に対する反論-




裁判記録には,これまでの記録を載せています。

2018年5月22日火曜日

被告国:口頭陳述要旨

平成30年4月25日の第14回口頭弁論に先立ち被告国が提出した書面です。


被告国:口頭陳述要旨

上記書面のうち、「第5 放射線被ばくによる健康影響に関する知見の箇所を翻訳したものです。」

5th The scientific view about influence of radiation for health

 As we have mentioned on the previous statements, the plaintiff’s claims about influence of radiation for health is not based on other scientific opinion.
 On the field of radiation medical science, international consensus have reached the scientific view that “Fixed influence such as internal organs function obstacle with radiation less than 100mSv is not noticed. Fixed scientific view that risk of cancer has risen under 100mSv is not found”. Plaintiff’s claim is against such scientific view.
 The defendant, Japanese government, has discussed in detail about influence of radiation for health on our 2nd statement, and that the plaintiff’s claims about influence of radiation for health is not based on other scientific opinion on our 6th statement. And, as the proof of the claim above, we have submitted the material which the Ministry of Environment have made with the Institute of radiation medical science, as otsu-B-4th and otsu-B-5th. And we have submitted the report which 17 scientists, who major in radiation medical science, radiation biology, radiation protect science, and radiation epidemiology, have written together, as otsu-B-6th. Furthermore, we have submitted the report as otsu-B-14th , which Professor Takahashi wrote and describes the aim, abstract, and how to read the data, of “Prefecture people’s health investigation” which Fukushima prefecture has done since June 2011.

 Concerning influence of low-level radiation for health, we should determine based on scientific views on which international consensus have reached. And based on such views, the opinion that when we are exposed on radiation, no matter how low level it is, bad influence for health would be caused, is different from international consensus on present. We hope that the court would judge properly based on proof, about influence of radiation for health.  

裁判記録には,これまでの記録を載せています。

第14回口頭弁論期日報告の補充(第5 放射線被ばくによる健康影響に関する知見"5th The scientific view about influence of radiation for health")


第14回口頭弁論期日報告の補充

 第14回口頭弁論期日において、被告国は、弁論の更新に当たり、「口頭陳述要旨」を朗読しました。そこには、低線量被ばくによる健康リスクについて、次のように書かれていました。
「第5 放射線被ばくによる健康影響に関する知見
  これまでの被告国準備書面でも言及したとおり、放射線被ばくによる健康影響に関する原告らの主張は、独自の見解に基づいたものです。放射線医学の分野においては、国際的な合意に基づく科学的な知見として、「臓器の機能障害等の確定的影響は少なくとも100mSvを超えた場合でない限り認められないと考えられており、がん発症の確率的影響についても、少なくとも100mSvを超えない限り、がん発症のリスクが高まるとの確立した知見は得られていない。」とされていますが、原告らの主張は、かかる知見に反しています。
 被告国は、放射線被ばくによる健康影響については被告国第2準備書面において、また、低線量被ばくに関する原告らの主張が独自の見解に基づくものであることは、被告国第6準備書面において、それぞれ詳しく論じています。そして、上記の主張の証拠方法として、乙B第4、第5号証として、環境省が放射線医学総合研究所とともに作成した基礎資料を、乙B第6号証として、放射線医学、放射線生物学、放射線防護学及び放射線疫学等の各分野における専門家17名が連名で作成した意見書(「連名意見書」)を提出しています。また、福島県では、平成23年6月から「県民健康調査」を実施していますが、その目的や概要、調査結果の読み方等について、高橋教授が作成した意見書を乙第14号証として提出しています。
低線量被ばくによる健康影響については、国際的にコンセンサスが得られている科学的知見に基づいて判断されるべき事柄であり、そのような知見からすると、放射線に被ばくすれば、線量の多寡に関わらず、すべからく健康に悪影響が生じるとの考え方は現在の国際的なコンセンサスにそぐわない考え方となります。裁判所におかれては、放射線被ばくによる健康影響について、証拠に基づいた適切な判断を望むところです。」

5th The scientific view about influence of radiation for health

 As we have mentioned on the previous statements, the plaintiff’s claims about influence of radiation for health is not based on other scientific opinion.
 On the field of radiation medical science, international consensus have reached the scientific view that “Fixed influence such as internal organs function obstacle with radiation less than 100mSv is not noticed. Fixed scientific view that risk of cancer has risen under 100mSv is not found”. Plaintiff’s claim is against such scientific view.
 The defendant, Japanese government, has discussed in detail about influence of radiation for health on our 2nd statement, and that the plaintiff’s claims about influence of radiation for health is not based on other scientific opinion on our 6th statement. And, as the proof of the claim above, we have submitted the material which the Ministry of Environment have made with the Institute of radiation medical science, as otsu-B-4th and otsu-B-5th. And we have submitted the report which 17 scientists, who major in radiation medical science, radiation biology, radiation protect science, and radiation epidemiology, have written together, as otsu-B-6th. Furthermore, we have submitted the report as otsu-B-14th , which Professor Takahashi wrote and describes the aim, abstract, and how to read the data, of “Prefecture people’s health investigation” which Fukushima prefecture has done since June 2011.

 Concerning influence of low-level radiation for health, we should determine based on scientific views on which international consensus have reached. And based on such views, the opinion that when we are exposed on radiation, no matter how low level it is, bad influence for health would be caused, is different from international consensus on present. We hope that the court would judge properly based on proof, about influence of radiation for health.  


ICRPは、2007年勧告においても、「約100mSvを下回る低線量域では、がん又は遺伝性影響の発生率が関係する臓器及び組織の等価線量の増加に正比例して増加するであろうと仮定するのが科学的にもっともらしい、という見解を支持すると委員会は判断している。(64)」と明記しています。私たちは、ICRPの考え方を批判していますが、そのICRPですら、上記の考え方(LNTモデル)を支持していることは重要だと考えています。UNSCEARもLNTモデルを支持しています。国の上記主張は、ICRPやUNSCEARの考え方も「国際的にコンセンサスが得られている科学的知見」にそぐわないと切り捨てるものです。一体、国が主張する「国際的にコンセンサスが得られている科学的知見」とは何なのでしょう。 むしろ、「国際的にコンセンサスが得られている科学的知見にそぐわない」のは、国の主張ではないでしょうか。



2018年4月28日土曜日

子ども脱被ばく裁判の予定(平成30年後半~)

子ども脱被ばく裁判の予定(口頭弁論期日)は以下のとおりです。


第15回 7月9日(月) 午後2時30分から口頭弁論

第16回 10月16日(火) 午後2時30分から口頭弁論

第17回 12月11日(火) 午後2時30分から口頭弁論



福島地方裁判所:福島市花園町5-38

被告国第9準備書書面 被告福島県準備書面(14)

平成30年4月25日の第14回口頭弁論に先立ち被告国が提出した書面です。

被告国:第9準備書面

被告福島県:準備書面(14)



裁判記録には,これまでの記録を載せています。

準備書面(49)~(52)、河野意見書、郷地意見書

4月25日の第14回口頭弁論に先立ち提出した書面です。

原告準備書面(49)-相互保証について-

原告準備書面(50)- 国に対する求釈明-

原告準備書面(51)-セシウムボール-

原告準備書面(52)-県民健康調査症例数開示問題-


甲B116-河野意見書-

甲B118-郷地意見書-




裁判記録には,これまでの記録を載せています。

2018.4.25第14回口頭弁論期日報告


子ども脱被ばく裁判2018425日第14回口頭弁論期日報告

弁護団長 井 戸 謙 一

1 今年の4月1日付で裁判長が交替しました。新裁判長は、遠藤東路氏。丁寧で穏やかな方という印象でした。
2 本日は、裁判長が交替したため、当事者が今まで積み重ねてきた主張の概要を口頭で説明しました。「更新弁論」といいます。原告側は各弁護士が分担して約40分間、口頭説明をしました。被告国は、訟務検事が約20分間、国の主張を口頭説明しました。その他の被告(福島県、福島市、郡山市、田村市、いわき市、会津若松市、川俣町)は更新弁論を行いませんでした。
3 被告国の更新弁論は、福島原発事故後の国の施策は、法令に則った裁量の範囲内のもので問題はないとするものであり、そのうち、被ばくによる健康リスクについての部分は、「国際的な科学的な知見として、少なくとも100mSvを超えない限り、がん発症のリスクが高まるとの確立した知見は得られていない」「放射線に被ばくすれば、線量の多寡に関わらず、すべからく健康に悪影響が生じるとの考え方は現在の国際的なコンセサンスにそぐわない」「原告らの主張は、国際的な合意に基づく科学的な知見に反している」等というものでした。これは、ICRPですら提唱しているLNTモデルを否定するものであり、「国際的な合意に基づく科学的な知見に反している」という言葉は、そのまま被告国にお返ししたいと思います。
4 本日原告側は、元京都大学工学部原子核工学教室技官の河野益近氏、医師で東神戸診療所長の郷地秀夫氏の各意見書を提出しました。これらは、いずれも、福島原発事故で大量に放出されたセシウムを多く含む不溶性放射性微粒子の内部被ばくによる健康リスクについて述べるもので、セシウムがこのような形態で環境中に存在することは従来は想定されていなかったこと、ICRPによれば、セシウムの生物学的半減期は、子供で40日、大人で80日とされているが、不溶性放射性微粒子の半減期は数十年にわたると考えられており、ICRPが提唱する内部被ばくの評価方法は、不溶性放射性微粒子については適用できず、不溶性放射性微粒子による内部被ばくのリスクの程度はわかっていないこと、土壌汚染濃度が高い地域では、土壌に含まれている不溶性放射性微粒子が風等によって再浮遊し、呼吸によって人の体内に侵入する危険が高いこと、このような未知の危険に子どもたちを晒すべきではないこと等を述べるものです。これらの意見書は、弁護団のブログにアップしますので、是非多くの方にお読みいただきたいと思います。
5 本日、原告側は、次の準備書面を提出しました。
(1) 準備書面51 河野意見書、郷地意見書に基づいて不溶性放射性微粒子の内部被ばく、接触被ばくの危険性を述べるもの
(2) 準備書面52 被告福島県に対し、県民健康調査において経過観察とされた子供たちから発症した甲状腺がん患者の数を公表するように求めたもの
(3) 準備書面53 原告らの陳述書に基づき、被告国及び被告県の違法行為の結果、子どもが無用な被ばくをし、精神的な苦痛を被ったことを主張するもの
6 被告福島市ほかの市町は、不溶性放射性微粒子による健康リスクについて述べた原告準備書面45に対する認否をしましたが、いずれも「不知」、すなわち、「原告の主張は、認めないが、反論もしない。原告の主張が正しいかどうかは知らない、」というものでした。これに対し、原告側は、子ども達の健康に責任を負っている被告福島市ほかの市町が「不知」という認否をするのは無責任であって、認めないのであれば、その理由を詳細に主張すべきであると述べました。
7 今回も原告のお母さんが意見陳述しました。福島原発事故初期における行政の怠慢を厳しく指摘するもので、その内容は、見事に国の代理人の上記要約陳述の欺瞞性を厳しく追及するものとなりました。
8 今回は、新たに4231筆の署名を裁判所に提出できました。署名活動へのご協力、ありがとうございました。
9 次回口頭弁論期日は、7月9日午後2時30分、その次の期日は、10月16日午後2時30分、その次の期日は、12月11日午後2時30分です。引き続きのご支援と多数の傍聴をお願いいたします。
以上


2018年1月25日木曜日

子ども脱被ばく裁判の予定(平成30年前半~)

子ども脱被ばく裁判の予定(口頭弁論期日)は以下のとおりです。


  第14回 口頭弁論期日 4月25日(水) 午後2時から

  第15回 口頭弁論期日 7月9日(月) 時間は未定です


福島地方裁判所:福島市花園町5-38